【裁判所に成年後見人を選任してもらうことでご本人の生活と財産を守ることができます】
ご本人が、認知症、知的障害などの精神的な障害によって認知能力・判断能力が極めて乏しくなってしまった人に適用され、申立てを受けて家庭裁判所が成年後見人を選任します。
ご本人が不利益を被らないよう法的に広く保護することとなり、成年後見人がご本人(成年被後見人)の法定代理人としてご本人の財産の維持・管理・処分、ご本人のための契約締結行為等、ご本人(成年被後見人)の生活に必要な行為を広く行うことになります。
家庭裁判所が後見開始の審判を出す目安としては、ご本人の認知能力・判断能力が長谷川式簡易知能評価スケールで10点以下又は認知機能検査(MMSE)で14点以下であること等が一応の基準とされています。
【将来自分の後見人になって欲しい人を自分で決めることができます】
将来自分の後見人になって欲しい人と任意後見契約を結べば、将来その人に後見人になってもらうことができます。
ご本人が、将来自分の認知能力・判断能力が衰えてしまったときに自分の後見人になってもらうことを相手と約する契約が任意後見契約です。
例えば、自分が将来認知能力・判断能力が衰えてしまったときには自分の甥に後見人になって欲しいという場合は、自分の甥と任意後見契約を締結することで、将来自分の認知能力・判断能力が衰えてしまったときに自分の甥に後見人になってもらうことができます。
この任意後見契約は公証役場で作成する「任意後見契約公正証書」の形式で契約書を作成しないと法的効力が認められません。
その代わり、前述のとおりご本人にとっては将来自分の後見人になって欲しいと思う人に後見人になってもらうことが出来るというメリットがあります(これに対し、法定後見では裁判所が自由な判断で最も適切と考える者を成年後見人として選任しますので、必ずしもご本人やその親族が望む者が成年後見人に選任されるわけではありません。)。
任意後見契約を締結した後、ご本人の認知能力・判断能力が低下して任意後見を開始する必要が生じた時点で、家庭裁判所に対して任意後見監督人選任の申立てを行います。
その申立てを受けて、家庭裁判所がご本人の認知能力・判断能力が相当程度低下していると判断した場合には任意後見監督人を選任し、その時から任意後見契約の受任者が任意後見人に就任することになります(任意後見が開始されることになります。)。
それ以後は、任意後見人がご本人の代理人として財産の維持・管理・処分やご本人に必要な契約締結等のご本人の生活に必要な行為を行っていくこやご本人に必要な契約締結等のご本人の生活に必要な行為を行っていくことになります。
任意後見契約を締結する際は、弁護士へご依頼頂くとご本人の負担が大幅に減ります
前述のとおり任意後見契約の締結には契約書を公正証書にすることが必要ですので、事前に公証役場に契約書の原案や必要書類を提出したり、公正証書作成の日程調整などのやり取りをすることが必要となります。
また、将来的には家庭裁判所への任意後見監督人選任の申立ても必要となります。
これらの手続をご本人や任意後見の受任者が行うことは困難な場合も多いため、弁護士へ依頼してこれらの手続の代理人になってもらえば、ご本人は必要最小限度の労力で手続を円滑に進めることができます。
将来に備えて任意後見契約を締結したいというときは、是非当事務所へご相談ください。
【保佐開始の申立て】
【ご本人の認知能力・判断能力の低下が重度でなくてもご本人の生活・財産を保護することが可能です】
ご本人が日常的な事柄は一人でできても、認知能力・判断能力が相当程度低下していて重要な財産を管理・処分を一人で行うのは不安な場合が多いというときは、申立てを受けて家庭裁判所がご本人の保佐人を選任します。
保佐人が法的に支援することで、ご本人(被保佐人)の生活や財産を保護することができます。
家庭裁判所が保佐開始の審判を出す目安としては、ご本人の認知能力・判断能力が長谷川式簡易知能評価スケールで11点以上15点以下又は認知機能検査(MMSE)で15点以上17点以下であること等が一応の基準とされています。
家庭裁判所が保佐の開始を認めると、民法13条1項各号に定められた行為については、保佐人に同意権が与えられることになります。それにより、保佐人の同意権が与えられている法律行為を、ご本人(被保佐人)が単独で行った場合、保佐人はご本人(被保佐人)の法律行為(たとえば、契約締結行為)を取り消すことができます。
後見の場合と異なり、保佐の場合にはご本人(被保佐人)は財産管理権を失わず、原則として自分の財産を自分で管理することになります。
また、後見人(後見の場合)とは異なり、保佐人(保佐の場合)にはご本人(被保佐人)に関する包括的な代理権が付与されているわけではありません。
しかし、個別具体的な事案において特定の事項に関しては保佐人に代理権を付与した方が良い場合もありますので、法律上家庭裁判所は保佐開始の審判と同時に特定の法律行為(例えば、不動産の処分行為など)について保佐人に代理権を付与することができます。特定の法律行為について保佐人に代理権が付与されている場合、その法律行為についてご本人(被保佐人)自身が行わなくても保佐人が代理人として単独で行うことが出来ます。
認知能力・判断能力に不安があるときには、当事務所へ是非ご相談ください。
【補助開始の申立て】
【認知能力・判断能力の低下が軽度であっても特定の法律行為についてだけ補助人に権限を付与することでご本人の生活・財産を保護することが可能です】
ご本人が基本的に日常的なことは自分でできるものの、認知能力・判断能力が不十分で一人では難しいことやできないことがいくつかあり、ご本人の利益のためにはできれば援助があった方がいいという場合、申立てを受けて家庭裁判所が補助人を選任します。
補助人が法的に支援することによってご本人を保護することができます。
家庭裁判所は、民法13条1項各号に定められた行為のうちご本人にとって必要なものについてのみ、補助人に同意権や代理権を付与することになります。
補助人に同意権が与えられた特定の法律行為をご本人(被補助人)が補助人の同意なしに行った場合、補助人はその被補助人の法律行為を取り消すことができます。
また、家庭裁判所が補助人に代理権を付与した行為については、補助人はご本人(被補助人)の代理人として単独で行うことができます。
家庭裁判所が補助開始の審判を出す目安としては、ご本人の認知能力・判断能力が長谷川式簡易知能評価スケールで16点以上22点以下くらいが一応の基準になっているといえます。